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曹洞宗の葬儀


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下記に曹洞宗としての正式な喪儀法を紹介します、実際の葬儀とは各種の制約によってかなり異なる場合が多いかと思います。


臨終諷経(りんじゅうふぎん)


訃報に接したならば、喪家に伺い懇ろに弔辞を述べ哀悼の意を表した後、臨終諷経(枕経)を行います、遺教経舎利礼文3偏を読誦し回向。

上来、香華灯燭浄水を供え、仏垂般涅槃略説教誡経(遺教経)舎利礼文を諷誦す、集むる所の功徳は、新亡精霊に回向す。こいがねう所は四大縁謝の次いで報知を荘厳せんことを。


通夜諷経(つやふぎん)


喪儀の前晩、親族・知人と共に故人生前の事績を語り通夜、読経した後に通夜説教を行います。


剃髪(ていはつ)


喪儀当日の入棺諷経の前に行います、霊棺を荘厳し華燭等を供えます。
時間になったら導師は位置に就きます。

まず上香し合掌して報恩偈を3回唱えます。

流転三界中 恩愛不能断 棄恩入無為 真実報恩者。
(るでんさがいちゅう おんないふのうだん きおんにゅうむい しんじつほうおんしゃ)

次に用意した剃刀を取って香に薫じ、親指と人差し指との間に挟み合掌し「剃髪の偈」を三唱する。

剃除鬚髪 当願衆生 永離煩悩 究竟寂滅。
(ていじょしゅほつ とうがんしゅじょう ようりぼんのう くぎょうじゃくめつ)

剃刀をもどして焼香します。


受戒(じゅかい)


受戒を行います、戒尺3回して曰く
「それ新帰元某甲信士・信女、帰戒を求めんと欲せば、先ずまさに懺悔すべし。二儀両懴有りといえども、先仏の護持しまう所、曩祖の伝来したまう所の懺悔の文有り。罪障ことごとく消滅す、吾が語に随ってこれを唱うべし」。

我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身口意之所生 一切我今皆懺悔。
(がしゃくしょぞうしょあくごう かいゆうむしとんじんち じゅんしんくいししょしょう いっさいがこんかいさんげ)

上記、懺悔文を3または1偏唱える。導師が「我昔所造諸悪業」と唱え戒尺したならば衆僧はこれを合掌して唱和する。次に三帰戒を授けます。

巳に身口意の三業を懺悔して、大清浄なることを得たり。次には応に仏法僧の三宝に帰依したてまつるべし。三宝に三種の功徳有り、いわゆる、一体三宝、現前三宝、住持三宝是れなり。一たび帰依する時、三種の功徳、ことごとく皆な円成す。

次に洒水器を拈じて、自身の頭上にある法性水を洒水器に移し入れる動作を繰り返すこと三偏、次に位牌の真ん中、左右の三方にそそぎ、再び自身の頭上に返すことを三偏します。
終わって、戒尺1回して曰く(三帰依文)

南無帰依仏 南無帰依法 南無帰依僧 帰依仏無上尊 帰依法難塵尊 帰依僧和合尊 帰依仏竟 帰依法竟 帰依僧竟。
(なむきえぶつ なむきえほう なむきえそう きえぶつむじょうそん きえほうりじんそん きえそうわごうそん きえぶつきょう きえほうきょう きえそうきょう)

3もしくは1偏、句ごとに戒尺、衆僧、隋唱すること前と同様です。

帰戒を授与すること此の如し。今自り以後、如来至真等正覚は、是れ新帰元某甲信士・信女が大師なり。更に余道に帰依せざれ。南無大慈大悲大哀愍故。

既に仏法僧の三宝に帰依す、次には応に三聚浄戒を受けたてまつるべし。

第一摂律儀戒、第二摂善法戒、第三摂衆生戒、是れなり。

次には応に十重禁戒を受けたてまつるべし。

第一不殺生戒、第二不偸盗戒、第三不貪姪戒、第四不妄語戒、第五不コ酒戒、第六不説過戒、第七不自賛毀他戒、第八不慳法財戒、第九不瞋恚悪戒、第十不磅三宝戒是れなり。

上来、三帰、三聚浄戒、十重禁戒、此れは是れ、先仏の護持したまう所、嚢祖の伝来したまう所なり。我れ今汝に授く、汝今身従り仏身に至るまで、此の事能く護持したてまつるべし。

以上、十六条の戒を授け終わって、次に血脈を授けます、導師はまず血脈を拈じて香に薫じて曰く

「此れは是れ、仏祖正伝菩薩大戒の血脈なり。仏々祖々、嫡々相承して、我れに到る、我れ今新帰元某甲信士・信女に授く、汝今身従り、仏身に至るまで、頂戴護持したてまつるべし」。

血脈を霊前に安置して曰く

「衆生仏戒を受くれば、即ち諸仏の位に入る、位大覚に同じゅうし已る、真に是れ諸仏の子なり、南無大慈大悲哀愍摂受」


入棺諷経(にゅうかんふぎん)


戒尺を二回聞き維那、金を三回打ち大悲心陀羅尼を挙する、読経が終了したら回向。

上来、諷経する功徳は、新帰元某甲信士・信女に回向す、伏して願わくば入棺の次いで、報地を荘厳せんことを。


棺前念誦(かんぜんねんじゅ)


引き続き維那は念誦を唱えて曰く

切におもんみれば生死交謝し寒暑互いに遷る、その来るや電長空に激し其の去るや波大海に停まる。
この日即ち新帰元某甲信士・信女有って生縁すでに尽きて大命にわかに落つ。
諸行の無常なることをさとって寂滅を以って楽と為す。
うやうやしく現世の清衆を請して謹んで諸聖の洪名を誦す。
集まる所の鴻福は覚路を荘厳す。あおいで清衆を憑んで念ず

一衆、十仏名を唱える。

清淨法身昆盧遮那仏(しん じん ぱ しん び るう しゃあ のう ふう)
円満報身盧遮那仏(えん もん ほう しん る しゃあ のう ふう)
千百億化身釈迦牟尼仏(せん ぱ い か しん し きゃあ むう にい ふう)
当来下生弥勒尊仏(とう らい あ さん み るう そん ぶう)
十方三世一切諸仏(じい ほう さん しい い しい しい ふう)
大乗妙法蓮華経(だい じん みょう は りん があ きん)
大聖文殊師利菩薩(だい しん ぶん じゅ す りい ぶう さあ)
大乗普賢菩薩(だい じん ふ えん ぶう さあ)
大悲観世音菩薩(だい ひ かん し いん ぶう さあ)
諸尊書薩摩詞薩(しい そん ぶう さあ もう こう さあ)
摩詞般若波羅蜜(もう こう ほう じゃあ ほう ろう みい)

次いで維那は舎利礼文を挙し、唱和3回、回向曰く

上来、念誦諷経する功徳は新帰元某甲信士・信女に回向す、伏して願わくば神浄域を越え、業塵労を謝す。蓮は上品の華を開き、仏は一生の記を授く。再び清衆を労して念ず。


挙棺念誦(こかんねんじゅ)


引き続き維那は挙棺念誦を唱える。

霊棺を挙して荼毘の盛礼におもむかんと欲す。仰いで清衆をたのんで、諸聖の洪名を誦す。攀帷を用表して上み覚路を資助して念ず。

続いて維郡は大悲呪を挙する。読経が終わったならば鼓鉢三通、次いで喪列を正して喪場に赴く

喪場は喪主の意思によって菩提寺あるいは喪家等とする。喪場を特に寺又は他に設ける場合は、行列が喪場に到着のころ、維那は「大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼」を挙し、霊棺、式場を右遶三匝して所定の位置に安置する
喪家を喪場とする場合は、まず「大宝楼閣陀羅尼」を誦し、導師の出場を待つ。


引導法語(いんどうほうご)


大宝楼閣陀羅尼」を終えて、導師は棺に面して位置に就きます。
維那の挙経にしたがって一衆は「大宝楼閣陀羅尼」を3編誦し、終わって鼓鉢三通、維那は前進して法炬を取って香に薫じ、ささげ持ち身を左に転じて退いて導師の右脇に到り法炬を導師に奉呈する。
導師はこれを受けて順逆に枯転する、終わって維郡に渡し、維郡は元の所に返す

次に侍者は大香を導師に奉呈する。導師は枯香して侍者に渡し、払子を振るい、引導法語を唱える。終わって棺前に進み侍者は大香を持ってこれに従う。上香問訊して位に復る。


山頭念誦(さんとうねんじゅ)


導師の引導法語に続いて維那は山頭念誦を唱える

是の日即ち新帰元某甲信士・信女有って、既に縁に従って寂滅す。乃ち法に依って茶毘す。百年虚幻の身を焚いて、一路浬薬の径に入らしむ。仰いで清衆を憑んで、覚霊を資助して念ず。

維那は十仏名に続いて回向を唱える。

上来、聖号を称揚し覚霊を資助す。唯だ願わくは、慧鏡輝きを分かち、真風彩りを散ず。菩提園裡に覚意の華を開敷し、法性海中に無垢の波を活動す。茶三奠を傾け、香一炉にたき、雲程に奉送し、聖衆を和南す。

上来、念誦諷経する功徳は、新帰元某甲信士・信女に回向す。伏して願わくは、茶毘の次いで、報地を荘厳せんことを

回向終わって鼓鉢三通、導師、大衆散場。


仏事(ぶつじ)


仏事には秉炬の外に奠湯・奠茶の二仏事を加えることがあります。
霊棺が喪場に至り安置されたならば奠湯師、秉炬師、奠茶師の順に位に就く。
大宝楼閣陀羅尼」の後、鼓鉢三通。喪司の維那は奠湯師を請する。
奠湯師は椅より立って中央に進む。左方の供頭は湯盞をささげて奠湯師に渡す。
師はこれを受けて拈し終わって右方の供頭は湯盞を受けて棺前に備える。
供頭が自位に復るのを待って奠湯師は法語を唱える。終わってさらに棺前に進み焼香低頭、身を転じて秉炬師に問訊して帰位する。
次に奠茶師は維那の請を受けて前に進み、奠茶すること奠湯と同じ二仏事終わって秉炬。


安位諷経(あんいふぎん)


葬儀を終わって後、安位諷経を修する。回向曰く

上来、諷経する功徳は、某甲信士・信女に回向す。こがねう所は、安位の次いで、報地を荘厳せんことを(安位諷経は正しくは霊骨を収めて後、又は埋葬の後に行います)



諷経(ふぎん):声を出して経文を読誦する事、禅宗では宋音で「ふぎん」と読む
戒尺(かいしゃく):読経の拍子をそろえるために打ちならす拍子
維那(いの):曹洞宗では読経に際して経の題目や回向文を読み上げる役

参考・引用書籍
曹洞宗行持規範 壇信徒喪儀法
岩波 仏教辞典
曹洞宗大本山総持寺出版部 ダラニのお話
曹洞宗宗務庁 曹洞宗日華諸経要集


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